カジノ ボーイ（読み）カジノ ボーイ （英語表記）spectrum 英語

可視光線を分光器で分解したときに得られる、波長（周波数）の順に並んだ 帯状の光の像のこと。カジノ ボーイという語はラテン語のspectareに由来し、元来は突然出現するものとか、予期しないのに出現するもの、早くいえばお化けのようなものをカジノ ボーイした。現在定着している物理学的なカジノ ボーイとしてこの語を導入したのはだれであるか記録のうえでは明確ではないが、おそらくニュートンではないかと思われる。ニュートンの『光学』（1704）第1巻第1部 命題2「太陽光は異なった屈折性をもつ光線で構成されている」の一節を抄訳してみよう。「暗い部屋の窓のシャッターに直径約8ミリメートルの丸穴をあけ、そこに三角柱プリズムを頂点を下に床に平行に置いて太陽光を導入し、その屈折像を約5.5メートル離れた壁に投影したところ、幅は5.4センチメートル、上下の長さは25センチメートルの側面はくっきりした直線状で、上下端はぼやけた長方形に近い長楕円(ちょうだえん)形で一端が赤く、続いて黄、緑、青、紫という順に色づいたthe solar image or spectrumが得られた」という記述があり、そこに突然カジノ ボーイという語が飛び出してくる。重要な概念には注意深く定義を与えて使っているニュートンがきわめて気軽にこの語を導入していることから判断すると、カジノ ボーイのもっている物理学上の重要性に対する認識が薄かったのではないかと思われるが、正確な事情は不明である。このカジノ ボーイの研究は、19世紀に入ってウォラストンが太陽カジノ ボーイ中に長さの方向と垂直に7本の暗線があることを発見し、フラウンホーファーが今日フラウンホーファー線として知られる数多くの暗線を発表したのに引き続き、続々と今日の分光学の基礎となった研究が展開された。

　現在ではカジノ ボーイという語は可視領域に限らず、電波からγ(ガンマ)線にわたるすべての電磁波領域で、波源からの放射を分解して波長順に並べて整理したものに対して用いられる。カジノ ボーイの外観からは輝線が不連続に配列された線カジノ ボーイ、明るい幅のある帯が輝線のかわりに並んだ帯カジノ ボーイ、また、太陽光や白熱電球のように連続的に明るく見える連続カジノ ボーイに分類される。これらのように明るく輝いて見えるカジノ ボーイを総称して放出カジノ ボーイあるいは発光カジノ ボーイという。これに対し太陽光カジノ ボーイ中に見られるフラウンホーファー線のように明るい背景のなかの暗線または暗帯として観測されるカジノ ボーイを吸収カジノ ボーイという。光を放出したり吸収したりする主体が原子、分子、固体である場合に、それぞれのカジノ ボーイを原子カジノ ボーイ、分子カジノ ボーイ、固体カジノ ボーイとよんで分類することもよく行われる。分子カジノ ボーイはさらに二原子分子カジノ ボーイと、多原子分子カジノ ボーイとに大別される。また常磁性イオンを含むイオン結晶では電子常磁性共鳴（EPR）カジノ ボーイ、原子核のスピン共鳴を利用する核磁気共鳴（NMR）カジノ ボーイも知られている。EPRは電子スピン共鳴（ESR）とよばれることもある。

　また発光させる方法の違いが問題となる場合は火花カジノ ボーイ、アークカジノ ボーイ、炎光カジノ ボーイ、低圧気体放電カジノ ボーイ、真空放電カジノ ボーイ、無電極放電カジノ ボーイなどに分類される。高温に熱せられた固体から放射される連続カジノ ボーイは熱輻射(ねつふくしゃ)カジノ ボーイであるが、とくに表面の反射率がゼロの黒体からの放射は黒体輻射カジノ ボーイとよばれ重要である。発光は、光源となる原子、分子あるいは固体の中で高いエネルギー準位に励起された状態にある電子が、低いエネルギー準位にある状態へと遷移する際に光が放出される現象として取り扱う。通常はこの遷移は自然に発生するので自然放出とか自発放出によるカジノ ボーイという。これに対し、発光体の周りの空間に同じ波長の光波が存在すると、それに誘導されて遷移が生じ、それに伴って光の放出、吸収が生ずる過程もあると考えなければ理論的に矛盾が生ずることがアインシュタインによって指摘され、誘導放出の存在が明らかとなった。この現象を利用したのがレーザー光であって、レーザー発振カジノ ボーイは自然放出カジノ ボーイカジノ ボーイ異なっている。

　カジノ ボーイの観測は、複雑に時間変化する光を周波数成分にフーリエ分解し、各周波数成分の含まれる割合をアナログ的に求める方法であると考えることができる。このような観点から、電磁波以外にも、音波その他の振動現象にフーリエ変換を施し、各振動成分の含まれる割合をグラフにしたものもカジノ ボーイとよぶことがある。また質量分析カジノ ボーイのように質量を大きさの順に並べたものもある。数学ではこれをさらに拡張して、任意の関数をあるベースにとった関数列によって展開した場合の係数をカジノ ボーイとよんでいる。

　光学以外のより一般的な分野では、何かの分布を網羅的にグラフなどで表現したものにも使われる。たとえば、ある極端な意見からそれと相反する意見までを、横軸を「意見」、縦軸を「賛同者」としてグラフ化したものなどがある。

［石黒浩三・久我隆弘　2015年6月17日］