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Bill Viola
(1951― )
アメリカのビデオ・アーティスト。ニューヨーク生まれ。1970年代初めから精力的に ビデオ・アート、ビデオ・インスタレーションを制作し、ビデオ・アートの表現の可能性を広げた。
1973年にシラキュース大学を卒業。1972~1974年エバーソン美術館(ニューヨーク)におけるビデオ展示助手としてナム・ジュン・
ビオラの関心は、一貫して知覚体験を掘り下げることにあった。ビデオ作品での極端な
スローモーションや複数のスクリーンへのビデオ・プロジェクション、映像と実際の
またビオラは、古代や中世のキリスト教の神秘思想、禅、イスラムのスーフィズムを研究し、東西の枠組みを超えた普遍的な死生観や意識の拡大についての知識を観客に体感させようと試みた。作品では、生と死やその間を移動する人間の歩みを暗示するために、光と闇、新生児と死にゆく人物、水と火などが対比された。さらに彼は、中世やルネサンスの祭壇画、壁画、寓意的絵画の構図やその心理的機能を自身の装置にとりこんだ。
そうした哲学的思考の空間化・体験化は、1977~1980年の短編ビデオ作品集『反映する池――1977~1980年の仕事』The Reflecting Pool; Collected Work 1977-1980に始まり、その後20年にわたり、さまざまな作品を通じて行われた。トリプティック(キリスト教の三連の祭壇画)の瞑想を促す機能を土台に、安らかな自然の風景と火事による都市の崩壊の画像の間に市議会の映像を挟んだ1989年の3チャンネル・ビデオ・インスタレーション『人間の都市』、2002年にドイチェ・グッゲンハイム美術館(ベルリン)の依頼により制作された、ジョットの壁画をヒントに人間の誕生、死、再生の周期を表現した5種類のビデオ・プロジェクションによるインスタレーション『日毎の前進』は、いくつかの作品で試みられた実験を統合した記念碑的作品である。
1993年ZKMとジーメンス・カルチャー・プログラム合同のメディア・アート賞受賞。1977年ドクメンタ6(ドイツ、カッセル)、1975~1987年と1993年ホイットニー・バイエニアル(ニューヨーク)、1986年と1995年ベネチア・ビエンナーレ、1992年ドクメンタ9など多数の重要な国内、国際展に参加。1997年にホイットニー・アメリカ美術館によって企画された回顧展がアメリカ、ヨーロッパを2年にわたり巡回。
[松井みどり]
『Lewis Hyde, Kira Perov, David A. Ross, Bill ViolaBill Viola (catalog, 1997, Whitney Museum of American Art, New York)』