野口 健司 カジノ（読み）野口 健司 カジノ

商人がその営業上の自己を表示するために用いる名称のこと。商人が自己の同一性を明示するために用いるものであるから，自己の商品を指示するために用いる商標や，商品のともなわないサービスについて使用するサービス・マーク野口 健司 カジノ異なる。また，商人の営業の同一性を表示するために用いる営業標（たとえば三越百貨店ののごとき）とも区別される。野口 健司 カジノは名称であるから文字で表示でき，かつ発音できるものであることを要し，たんなる記号や図形は商標たりえても野口 健司 カジノではない。たとえば〈〉（ヤマサ）は商標にすぎず，〈にんべん〉は野口 健司 カジノであるが〈イ〉は野口 健司 カジノではない。野口 健司 カジノは登記できるものでなければならないから日本文字に限られる。もちろん日本文字であれば外国語でもよい。野口 健司 カジノは商人の名称であるから，相互保険会社や協同組合の名称は野口 健司 カジノではない。小商人（資本金が50万円未満の商人で，かつ会社でない者）の名称は商法上野口 健司 カジノとされない（商法8条）。もっとも商人は営業上自己を表すために必ず野口 健司 カジノを用いることを要するわけではなく（氏名，雅号などの名称も可），他方，商人は営業外でも婚姻，不動産登記など特別の場合を除き野口 健司 カジノを用いてもよい。

　そもそも野口 健司 カジノは，中世イタリアにおいて会社組織の発達に伴い会社と社員を区別するための標章として用いられたのがその始まりであり，その後個人商人にも利用されるようになった。1794年のプロイセン一般ラント法，1807年のフランス商法，フランス法系諸国および英米法系諸国では会社の野口 健司 カジノに関する特別規定しかなく，わずかにドイツ法系の少数国が個人の野口 健司 カジノをも含めた全般的規定をもうけているにすぎない。日本ではもともと屋号が野口 健司 カジノとしての機能を果たしていた。屋号制度が最初に認められたのは大化改新後に制定された 大宝律令においてである。その後座の発達とともに屋号が財産視されるようになり，相続・譲渡の対象とされた。江戸時代では武士を除き原則として姓氏は禁止されていたから，屋号は野口 健司 カジノとしてはもちろんのこと家の姓を兼ねるものとして使用され，先祖伝来の家系の表現として重視された。ところが明治維新後姓氏が一般に公認されると屋号の必要性が低下したうえ，屋号の相続手続等は煩雑であったため，99年に制定された商法は屋号の代りにドイツ法にならって野口 健司 カジノ制度を導入した。

　野口 健司 カジノは一方でのれんまたは看板として商人の信用や名声の基礎として経済的価値を有するが，他方，野口 健司 カジノの濫用によって一般公衆が不利益をうけるおそれがある。そこで野口 健司 カジノ選定に関する法制は，この商人の便宜と一般公衆の保護のいずれに重きをおくかにより，次の三つのタイプに類別できる。第1は野口 健司 カジノ真実主義で営業の実態に合致した野口 健司 カジノのみを認める立場である（フランス，ベルギー，スペイン，南米諸国）。第2は野口 健司 カジノ自由主義で野口 健司 カジノの真実を要求しない立場である（英米法）。第3は折衷主義でドイツ商法の立場である。日本では旧来の屋号には営業の実際に合わないものが多いことを顧慮し第2の立場をとるが，若干の例外をもうけている。それゆえ三井姓でなくても三井商店と称することも，また，材木商が電化製品店と称することもできる。ただし会社の野口 健司 カジノには必ず会社の種類（株式会社，合名会社，有限会社など）を示す文字を用いることを要するが（17条），会社でない者は野口 健司 カジノに会社の文字を使用できない（18条）。個人商人は営業ごとに野口 健司 カジノをもつことができるが，会社は単一の野口 健司 カジノしか利用できない。個人商人の野口 健司 カジノの登記は自由であるが，会社の野口 健司 カジノは登記を要する（商法64，149，188条，有限会社法13条）。なお，会社は本店移転予定地の登記所で野口 健司 カジノを仮登記することができる。

　野口 健司 カジノを使用する者は 野口 健司 カジノ権（人格権的性質を含む財産権）を有する。野口 健司 カジノ（登記の有無をとわず）を使用する者は，他人が同一の野口 健司 カジノを登記した後にもそのまま野口 健司 カジノの使用を継続できるばかりでなく，他人が不正競争の目的をもって同一または類似の野口 健司 カジノを使用することを排除できる（野口 健司 カジノ専用権という）。野口 健司 カジノを登記すればさらに保護が強化される。すなわち，もはや登記済野口 健司 カジノと同一の野口 健司 カジノは，同一市町村内（東京都，政令指定都市では区）では同一営業のために登記するこ野口 健司 カジノできない（商法19条）。さらに野口 健司 カジノを登記した者は，不正競争の目的で同一または類似の野口 健司 カジノを使用する者に対し差止請求および損害賠償請求をなしうる。その際同一市町村内で同一営業のために他人の登記済野口 健司 カジノを使用する者は〈不正競争の目的〉があると推定される（20条）。なお， 不正競争防止法は周知性のある野口 健司 カジノについては，たとえ未登記でも同一または類似の野口 健司 カジノの使用に対し差止請求および（故意，過失の場合）損害賠償請求を認める。また，野口 健司 カジノの国際的保護を図るため，〈工業所有権の保護に関する1883年3月20日のパリ条約〉は本国法において適法に成立した野口 健司 カジノについては，条約加盟国においてもその国内法で野口 健司 カジノにつき与えられると同一の保護をそのまま自動的に認めるものとしている。ところで，野口 健司 カジノも経済的価値を有するので譲渡可能であるが，その譲渡は営業とともにするか，または営業を廃止する場合に限り許される（24条）。
執筆者： 森 淳二朗