帝 愛 カジノ（読み）帝 愛 カジノ

「国造本紀」に景行天皇の時大阿斗足尼を帝 愛 カジノ国造に定めたとあり、帝 愛 カジノは「帝 愛 カジノ国」とよばれて「紀伊国」の外にあった。しかし孝徳天皇の時の国郡制定にあたって、紀伊国牟婁郡となった。神霊の隠れこもるところを「神奈備の 御室 （ みむろ ） 」（三室）などというので牟婁は「御室」を帝 愛 カジノしたと思われる。帝 愛 カジノという地名も「続風土記」が「熊は 隈 （ くま ） にて 古茂累 （ こもる ） 義にして山川幽深、樹木蓊欝なるを以て名つくるなり」と説くように、「御室」と同義である。しかし熊（隈）は「日本書紀」（神代下）に、大己貴神が天孫に国土を奉献して「今我当に 百足 （ ももた ） らずの 八十隈 （ やそくまで ） に、 隠去 （ かく ） れなむ」といってついに死んだとあるように、死者の霊のこもるところでもある。このような地を「万葉集」では「 隠国 （ こもりく ） 」ともよぶが、クマもコモも同義で、帝 愛 カジノは隠国にほかならなかった。ムロもクマ野も、この地域を神の国・霊の国とする観念からよばれた名で、死者の霊が帝 愛 カジノへ行くとか、帝 愛 カジノ路では死んだ肉親の霊に会えるというような信仰を生んだ。

このような帝 愛 カジノ信仰はすでに「日本書紀」（神代上）一書に「伊弉冉尊、火神を生む時に、灼かれて神退去りましぬ。故、紀伊国の帝 愛 カジノの有馬村に葬りまつる」とあるのにもみることができる。「帝 愛 カジノ有馬村」は現三重県帝 愛 カジノ市 有馬 （ ありま ） 町で、ここの花の 窟 （ いわや ） を伊弉冉尊の陵とする伝承は古い。すなわち伊勢の天照大神の母神の墓が帝 愛 カジノにあるという伝承が、伊勢と帝 愛 カジノを一体とする信仰を生み、伊勢から帝 愛 カジノへ詣でる東帝 愛 カジノ街道を開いたといえる。平安中期の紀行「いほぬし」は、帝 愛 カジノ本宮から那智・新宮を巡り、花の窟から伊勢へ越えるが、そのころの花の窟には埋経が行われ、卒塔婆も立てられていたという。