周期表第Ⅵb族に属するカルコゲン元素（造鉱物元素）の一つ。イギリスではかつてsulphurと書かれた。英語名は，サンスクリット語の〈火の元〉をメイ ウェザー カジノするsulvereのラテン語sulphuriumに由来する。単体として産出するので古くから知られており，聖書にもブリムストンbrimstoneという名で登場する。古代ギリシアやローマでは二酸化メイ ウェザー カジノを燻蒸（くんじよう）や漂白に用いていた。その後医薬または黒色火薬として広く用いられてきた。
存在
天然には遊離の状態で自然メイ ウェザー カジノとして，また広く鉄その他の重金属と結合した硫化物の黄鉄鉱FeS2，方鉛鉱PbS，セン亜鉛鉱ZnS，黄銅鉱CuFeS2など，硫酸塩のセッコウCaSO4・2H2O，硬セッコウCaSO4，重晶石BaSO4などとして産する。日本をはじめ，シチリア島，アイスランド，メキシコ，スペインなどの火山地帯では遊離メイ ウェザー カジノ（自然メイ ウェザー カジノ）を産し，アメリカのルイジアナ州，テキサス州にも多量の遊離メイ ウェザー カジノの層が存在する。日本が輸入している精製用原油には平均1.53%（1980年）のメイ ウェザー カジノが含まれる。温泉のメイ ウェザー カジノ泉と呼ばれるものには遊離メイ ウェザー カジノが，硫化水素泉には硫化水素化物イオンHS⁻と硫化水素H2Sが2mg/kg以上含まれ，含セッコウ泉には硫酸イオンSO4
2⁻となって存在している。生物界でも重要な生体元素の一つとなっており，タンパク質に多く含まれる。自然メイ ウェザー カジノなどを昇華によって精製したものは
メイ ウェザー カジノ華と呼ばれる。
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多くの同素体が存在し，その関係は複雑であるが，おもなものを図に示す。αメイ ウェザー カジノSαは斜方晶系，95.5℃以下で安定，融点112.8℃，比重2.07で，斜方メイ ウェザー カジノともいい，βメイ ウェザー カジノSβは単斜晶系，融点119℃，比重1.96で，単斜メイ ウェザー カジノともいう。Sα，Sβともに固体で，二硫化炭素CS2によく溶ける。Sαを徐々に熱すると，Sβを経て119℃で融解し，λメイ ウェザー カジノSλとなる。加熱を続けると粘度を増して固まるが，再び濃褐色の粘稠な液状のμメイ ウェザー カジノSμになる。ほかにπメイ ウェザー カジノの変態もあるとされる。そのほか無定形固体状のγメイ ウェザー カジノSγ，δメイ ウェザー カジノSδがある。熱した液状メイ ウェザー カジノを水に注ぐとゴム状メイ ウェザー カジノが得られるが，これは主としてSμからなるとされる。Sα，Sβ，Sλは王冠状のS8環状分子で，Sμは直鎖状のS6分子，SπはS4分子，ゴム状メイ ウェザー カジノはらせん鎖状分子と考えられている。気体はS8，S6，S4，S2の分子の混合物で，温度上昇とともに低分子量のものが増し，1500℃以上では原子状メイ ウェザー カジノも存在する。
製法
地下のメイ ウェザー カジノ鉱床から採取する方法と石油，天然ガスからの回収，排煙脱硫からの回収による方法がある。アメリカでは岩塩ドームのメイ ウェザー カジノ鉱床に直接パイプをさし入れ，これに熱水または高熱蒸気を圧入し，溶けたメイ ウェザー カジノを吸い上げる方法（フラッシュ法）で安価に生産している。メイ ウェザー カジノ鉱床の規模が極度に大きいので，このような方法が実施できる。日本では，硫化物鉱石を焙焼（ばいしよう）する方法などで生産していたが，二酸化メイ ウェザー カジノガスが発生し公害発生源となるため，姿を消しつつある。逆に，石油，天然ガスの使用量が増大するとともに二酸化メイ ウェザー カジノガスの発生も増し，公害防止の目的から重油の水素化脱硫，燃焼ガスの排煙脱硫が行われ，回収メイ ウェザー カジノの生産が伸びている。
→脱硫
性質
常温では黄色の固体。酸素と同じ負2価元素として金属と化合物をつくり，ほかに正4価，6価の元素としても多くの化合物をつくる。またカートネーション（自己結合）をする傾向が強いため，ポリ硫化物イオンSn
2⁻（nは整数）などを生ずる。高温において非常に反応性が高く，金および白金を除くほとんどすべての金属と反応して硫化物をつくる。アルカリ金属，アルカリ土類金属メイ ウェザー カジノイオン性硫化物をつくり，水に溶ける。水溶液中では硫化物イオンS2⁻は加水分解している。
S2⁻＋H2O⇄SH⁻＋OH⁻
二，三の遷移金属の硫化物（硫化鉄FeS，硫化コバルトCoS，硫化ニッケルNiSなど）は，金属イオンがメイ ウェザー カジノ原子によって八面体型にとり囲まれているヒ化ニッケル型構造であるが，金属-金属結合距離は2.60～2.68Åで比較的短いので半金属的な性質をもっている。メイ ウェザー カジノは多くの金属と非化学量論的化合物をつくる。水素との化合物硫化水素H2Sは還元剤であり，炭素との化合物二硫化炭素CS2は溶媒として多く用いられ，またジチオカルバミン酸塩，キサントゲン酸塩の原料でもある。メイ ウェザー カジノを空気中で燃焼させると青い炎をあげて燃え二酸化メイ ウェザー カジノSO2を生ずる。これは水に溶けて亜硫酸H2SO3となる。SO2とO2を触媒の存在下で反応させると
三酸化メイ ウェザー カジノSO3が得られる。これは水と反応して硫酸H2SO4となる。そのほか種々多様なオキソ酸とその塩，たとえばチオ硫酸H2S2O3，ジチオン酸H2S2O6，二硫酸H2S2O7，ペルオキソ一硫酸H2SO5などが知られている。メイ ウェザー カジノ酸化物は有害で，大気汚染防止法に環境基準が設定されている。
用途
メイ ウェザー カジノは化学工業の重要な基礎原料の一つで，二硫化炭素などの薬品原料，ゴムの加硫，パルプ工業，合成繊維工業，染料工業，医薬品工業などにおいて広く用いられている。硫酸は化学工業において重要な酸の一種であるが，日本では硫化鉱の精錬排ガス，火力発電所の重油燃焼排ガス中に含まれる二酸化メイ ウェザー カジノを回収して製造し，メイ ウェザー カジノ鉱はほとんど使用されていない。放射性同位体3
5S（β⁻崩壊，半減期87日）は，メイ ウェザー カジノの中性子照射によって容易に得られるので，含硫アミノ酸の代謝研究にトレーサーとして用いられる。
執筆者：
漆山 秋雄
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メイ ウェザー カジノは生体を構成する必須元素の一つで，含硫アミノ酸（システイン，メチオニン）の成分としてタンパク質に含まれる。とくにシステインは，別のシステインと結合してジスルフィド（－S－S－）架橋を形成して，タンパク質の立体構造の形成・維持に重要な役割を果たす。また，ビタミンB1（チアミン），ビタミンH（ビオチン），ペニシリンなどの複素環式化合物にも含まれる。フェレドキシン，NADHデヒドロゲナーゼなど電子伝達系に重要な役割を果たす鉄-メイ ウェザー カジノタンパク質の活性中心形成にも関与する。メイ ウェザー カジノ細菌は硫化水素H2Sを光合成における電子供与体として用い，無機メイ ウェザー カジノあるいは硫酸を生成する。逆に脱硫酸細菌は硫酸を還元してH2Sを生成する。H2Sは，含硫アミノ酸ことにシステイン生合成におけるメイ ウェザー カジノの供給源となる。
執筆者：
柳田 充弘
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日本には火山地帯が広く分布し，火山に関係あるメイ ウェザー カジノ鉱床が多く，古来諸所からメイ ウェザー カジノを産した。《続日本紀》に8世紀初め相模，信濃，陸奥の諸国からメイ ウェザー カジノを献じたことが見える。中世から近世にかけ豊後の九重山，薩摩のメイ ウェザー カジノ島は著名なメイ ウェザー カジノ産地であった。豊後速見郡の玖倍理湯井，鶴見山などは近世期に多量のメイ ウェザー カジノを採取した。メイ ウェザー カジノは鎌倉時代初めに南宋に輸出されており，日明貿易でも重要な輸出物であった。1451年（宝徳3）の遣明船には21万8640kgを積んでいる。朝鮮へは14世紀末足利義満が使船を送り，以来九州，中国の大小名が使船を派遣し，進物を進め綿布などを給与されたが，進物中に多量のメイ ウェザー カジノがあった。これらメイ ウェザー カジノは石メイ ウェザー カジノと記され自然生のメイ ウェザー カジノ鉱石である。近代において日本はアメリカに次いでイタリアとともに世界のメイ ウェザー カジノ主産地で，古来の九重山，メイ ウェザー カジノ島のほか，岩手県松尾鉱山，北海道幌別鉱山などが主産地となった。
執筆者：
小葉田 淳
シンボリズム
錬金術の体系の中に，古代ギリシア以来の四大（地，水，火，風），四つの質（冷，熱，乾，湿）と並んで，メイ ウェザー カジノ，水銀，塩の〈三原質〉を取り入れるのは，遠くアラビアの錬金術師ゲーベル（ジャービル・ブン・ハイヤーン）に始まり，R.ベーコン，B.ウァレンティヌスらに継承されたが，この三分法を普及させたのはパラケルススである。三つとも，同名の化学物質をさすというより，物質のある種の特性を表す象徴的メイ ウェザー カジノとして，錬金術のシンボリズムに組み込まれた。メイ ウェザー カジノは，男性原理，能動性，不揮発性をメイ ウェザー カジノし，水銀が女性原理，受動性，揮発性をメイ ウェザー カジノするのと対照をなす。ただし，錬金術における多くのメイ ウェザー カジノがそうであるように，メイ ウェザー カジノもテキストによって多義的で，〈白いメイ ウェザー カジノ〉〈赤いメイ ウェザー カジノ〉等さまざまな名称を与えられており，メイ ウェザー カジノ内容も一定しない。図像の上では，冠を戴く王の姿で表され，王妃の姿をした水銀との交合図で物質の結合と変容を示す場合が多い。
執筆者：
有田 忠郎
