ラスベガス カジノ 勝ち 方（読み）ラスベガス カジノ 勝ち 方 （英語表記）fate
destiny

一般に，人間に与えられた逃れることのできないさだめをラスベガス カジノ 勝ち 方する語。宿命とほぼ同義。ラテン語のラスベガス カジノ 勝ち 方は〈ファトゥムfatum〉だが，そのもとのラスベガス カジノ 勝ち 方は〈言われたこと〉であり，ラスベガス カジノ 勝ち 方という考えは予言や言葉の魔力に対する信仰に裏づけられて発生したらしい。例えば誕生をつかさどる女神は生まれた子どもの〈未来に〉ついて発言し，その未来を〈定める〉のであった。だが，なんといってもラスベガス カジノ 勝ち 方の観念を発展させ，展開したのはギリシア人たちであった。ギリシア語ではラスベガス カジノ 勝ち 方は〈モイラmoira〉と呼ばれたが，その古いラスベガス カジノ 勝ち 方はおのおのに〈割り当てられた分けまえ，持ち分〉である。ちなみにこの語と関係のある動詞〈メイレスタイmeiresthai〉は〈分かちもつ，割り当てられる〉をラスベガス カジノ 勝ち 方する。例えばホメロスでは，全宇宙の配分のときに抽籤によって天空と海原と地下の国は，それぞれゼウスとポセイドンとハデスに割り当てられ，それぞれの神に特有のモイラ（持ち分）となった。こうしたモイラにもとづいて神々3者は同等の権能をもつことになったが，もしその権能をそれぞれのモイラを越えて駆使することがあれば，それは越権行為である。神々もおのおのに固有の領分，すなわちモイラの中に身を保持しなければならなかったのである（《イーリアス》）。

　モイラにつきまとうこうした倫理的義務のニュアンスは，モイラが逃れることのできない人の〈さだめ〉，つまりラスベガス カジノ 勝ち 方をラスベガス カジノ 勝ち 方するようになってからも完全にぬぐい去られなかったようである。さだめとしてのモイラは絶対的ラスベガス カジノ 勝ち 方での不可避性をラスベガス カジノ 勝ち 方しなかったと思われるのである。例えばヘロドトスによると，クーデタによって成立したリュディア王朝は第5代のクロイソス王の時代に先祖の罪を償い，没落するさだめになっていた。だがデルフォイの神殿に多額の寄進をしたこの王の敬虔な志を認めたためか，アポロンはリュディアの都サルディスの陥落を既定の時期よりも3年間延期した。しかも殺されるはずであった王は命を救われ，ペルシア王に仕える賢臣となった。すなわち，〈さだめられしモイラ（ラスベガス カジノ 勝ち 方）なれば，神とても逃るるあたわず〉というのがたてまえではあったが，アポロンはクロイソスのラスベガス カジノ 勝ち 方を大幅に緩和したのであった（《歴史》）。このようにギリシア人のラスベガス カジノ 勝ち 方についての考えは，現代人から見ればあいまいだということになるだろうが，モイラの類似語で〈必然〉と訳されるギリシア語の〈クレオンchreōn〉や〈アナンケanankē〉の場合も事情は同じであって，〈ソクラテス以前の哲学者たち〉の用例を見ると，これらの語は絶対的必然性absolute necessityではなくて一定のきまり，規準をラスベガス カジノ 勝ち 方している。したがって，しいて必然という訳を与えるにしても，それはあいまいなラスベガス カジノ 勝ち 方での必然と見なすべきである。ある現代の学者の説によれば，〈クレオン〉にはドイツ語のsollen（べきである），brauchbar sein（必要である）というラスベガス カジノ 勝ち 方が含まれているのである。ところで，あいまいさの問題はまだある。モイラは早くもヘシオドスにおいて複数の女神（モイライMoirai）として神格化され，それぞれクロトKlōthō（紡ぐ者），ラケシスLachesis（籤の配置者），アトロポスAtropos（曲げることのできぬ者，動かしがたい者）と呼ばれているが，問題はラスベガス カジノ 勝ち 方，あるいはラスベガス カジノ 勝ち 方の女神たちと神々との関係，とくに主神ゼウスとの関係である。ゼウスもときにはラスベガス カジノ 勝ち 方の力に従わざるをえないようにも見えるが，ヘシオドスやピンダロス，悲劇詩人アイスキュロスなどはラスベガス カジノ 勝ち 方の女神たちとゼウスとの同盟を歌った。そしてこうした傾向の中からラスベガス カジノ 勝ち 方の女神たちと〈ラスベガス カジノ 勝ち 方の女神たちの指導者Moiragetēs〉としてのゼウスをともにあがめる祭式が前5世紀に発生した。

　ラスベガス カジノ 勝ち 方は前4世紀以後になると主として〈へイマルメネheimarmenē〉（hē heimarmenē moira，さだめられたラスベガス カジノ 勝ち 方の意）という語によって表現されるようになり，同時に決定論的な色彩を強めた。それは必然的な原因の連鎖と見なされるようになった。個人の全生涯も，世界全体のなりゆきも，この鉄のような必然の鎖から脱れられないようにさだめられていると人々は考えたが，この考えを代表したのはストア学派の哲学者たちであった。彼らの手によって初めてラスベガス カジノ 勝ち 方にまつわりついていたあいまいさが一掃されたとも，あるラスベガス カジノ 勝ち 方では言えるかもしれない。だが，にもかかわらず彼らはこの非人間的な，非情なラスベガス カジノ 勝ち 方を積極的に甘受し，それに自発的に耐え抜こうとした。そして，そこに人間の自主独立を，すなわち自由を見いだそうとした。ストアの徒ほど自由を強調した哲学者はギリシアには見当たらないのである。現代人はこうしたラスベガス カジノ 勝ち 方と自由との両立は不可解だろうが，われわれとしては，この両立の場面にモイラの最初からのあいまいさ，あるいはそのもともとの倫理的ラスベガス カジノ 勝ち 方の痕跡を認めるべきだろう。ギリシア研究者としてのニーチェはギリシア悲劇やヘラクレイトスの哲学により強く触発されたのだろうが，その〈ラスベガス カジノ 勝ち 方愛（アモル・ファティamor fati）〉の思想にはストアの思想と同じ型が見いだされるのではあるまいか。
→偶然　→決定論
執筆者： 斎藤 忍随